六畳間の窓枠

色々な作品の感想や所感を書いていけたらなと

小さな一歩の肯定 ATRI-My Dear Moments-感想

どの作品にも言えるが、物語を読み終わる時、真っ先に感じるのは「面白かった!」という充足感と「この世界にはもう出会う事は出来ないのか。」というある種の感傷を持つ。

「作品」としては何度だってその世界の物語を読み返す事は出来る。

ただ、「その世界を見届ける当事者(先を知らない、という意味)」として、その世界に没入する事が出来なくなる事実にどうしようもなく一抹の寂しさを感じてしまう。

このATRI-My Dear Moments-という作品を読み終えた午前2時36分、自分が吐き出す感想と向き合い、こうしてありもままの感想を書いている時に感じるのはそういった寂しさと「彼ら彼女らには地球を救っていて欲しい」というどうしようもない程強い希望の気持ちだった。

 

ATRI前説

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自分の人生で初めてプレイしたノベルゲームとなったATRI-My Dear Moments-。

このゲームの存在は前々から....発売した2020年時点で知っていた。何せ今大躍進を遂げているCloverWorksがPVアニメを作成していたし(それが三本も。豪華過ぎる)、更にそれとは別のTVCMも放映していたのでそれはそれは記憶に残った。

世界観や物語のストーリーラインが大変好みだったのもあるが、主題歌である「光放て!」の爽やかな曲調はCMだと短いが一度聴いたら中々忘れられない。

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特にこのアニメPVとOPは何度繰り返し見たか分からない。

 

そんなこんなで時は流れ2023年夏。ようやっとPCを買い終え、この作品も購入。

あらすじやキャラ説明などは申し訳無いけどカット(調べれば出てくるし....)するのだが、括りとしては「ポストアポカリプス」系統の作品に入るであろう本作はそれはもう大変興味を唆られ、始まる前から大好きになるだろうと予感していた作品なので意気込んでプレイを開始。

 

結論として、自分は本当にこの作品が大好きになっていた。

 

プレイした感想

前述した通り世界観は本当にドンピシャに大好きだったのは間違いない。けど、それ以上に、思ってた以上にこの世界で生きるキャラクター達に感情移入して、好きになってしまっていたなと思う。

過去の様々な出来事で挫折するも、良い出会いに恵まれ変わっていく斑鳩 夏生

44日間の世界を精一杯生きるアトリ

純朴だけどそれ故に奥手な面を持つ神白 水菜萌

最後まで頼れる兄貴的存在だった野島 竜司

身寄りも居ない、でも外の世界への強い探究心と逞しさを持っていた名波 凛々花

「なんだコイツ!?」となった初登場から可愛げと、大人故の優しさや葛藤を見せてくれたキャサリン

海面上昇がいつ終わるのか、生活がいつまで持つのかも分からない世界で生きる彼ら彼女らは自分が持っていない逞しさと強い衝動を持っていた。

後ろ向きな自分としては、ともすれば嫌になっちゃうかもしれなかったけど、そんなキャラクター達の持つ強い光といえる「生き様」にプレイ中は胸を打たれていた。

中でも凛々花が屋上で本を読んでいたあの場面は作中屈指で好きかもしれない。あそこで正直クソガキか...?と思っていた凛々花の事が大好きになった起因なので。

 

とは言え、物語自体は目新しいものか?と聞かれたら自分はいいや。と答えるだろう。

それ程使い古されたある種の王道的な内容が盛り沢山だと感じたし、プレイしていれば「この部分はこういう事かな?」とか「ラストはこういう風だろな〜」といった事が勘の良いプレイヤーになら分かってしまうかもと思う瞬間もあった。(後やっぱもう少し「ここの心情面細かく書いても良いんじゃない....?」と思う部分もそれはそれであった。)

だからこそ伝えたいメッセージや想いは直球に、そして素直に伝わる。

捻らない真心と活力を、純朴に、そして一途に物語とキャラクターが伝えてくれる。

だからこそ、何気ない場面やセリフでも素直な涙が溢れたり、二転三転する展開に一喜一憂して、まだこの世界を見たりない!皆の事をもっと知りたい!という気持ちのままこの世界を去れたのだと思う。

そういう寂しさを抱えながらあの希望に満ちたラスト見て、思う。「終わりの続きの未来で、彼ら彼女らには地球を救っていて欲しい」と。

 

ATRIの世界は問題解決の為の糸口を見つけている最中。

街の問題は解決しても、世界の問題はまだ解決出来ていない。この先、「地球を救うこと」を決めた夏生は困難にぶつかる事があるのは想像に難くない。ATRI本編でも思い通りの結果にならなかった事は多々あった。

それは現実も同じで、世界で巻き起こる問題はまだ解決しそうにないし、生活は瀬戸際だし、成りたい自分はまだ遠く。なんなら今は自分の身の回りの事で精一杯だとやっぱ思うけど、このATRI-My Dear Moments-という作品はそういった未熟な想いを肯定した上で小さな一歩を刻み続ける勇気を与えてくれる作品だなと感じました。

プレイし終えた勢いで書いてるから、支離滅裂な事になってるかもしれないけど、初めてプレイしたノベルゲームがこの作品で本当に良かったと心の底から思っています。

 

来年放送のTVアニメが楽しみだし、どういう風に細かい場面や心情が描かれたり盛られたりしてるのか楽しみだな....

 

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